「このドラマの見どころは?」の質問には意味がないと思う

Jan 23, 2011


◆自分の魅力に、自分で気づいていない人は多い。
「あなたの魅力は、そこではありません」と言いたくなることもある。香水なども、その典型的な例かと思う…
人の能力や心の優しさも、そうです。「あなたの、そこのところも素敵な部分ではありますが、もう一方のこちらの部分こそ人を惹きつけて最高に輝いているのに。その自覚が無いなんて。じつにもったいない」と言いたい気持ちをこらえるのが大変なほどです。あまり面識のない人に、面と向かって褒めすぎると逆に疑われるので、内緒にしてみたりして、ひそかに様子見しています。けど内心は当人にそのことを伝えたくてウズウズ。でも今は静かに我慢。そうやって虎視眈々と、当人に魅力を伝える絶好の機会をねらう。 
・・・これが日常の私の心の動きであります。(笑)
    

◆ところで。「自分の魅力を自分で伝える」といえば…
作家さんやミュージシャンの新作インタビューで、
「この新作アルバムの聴きどころは?」とか、
「この小説のどんな所がご自身で気に入っていますか?」とか、
「このドラマの見どころは?」とか、
制作者側にインタビューするパターンが、よくありますね。テレビ番組などで。
これって、どうもダメな質問のような気がしています。なんか。
何がダメって、理由は私もはっきりとは分からないけど、なんか、すごく嫌なんです。この手の質疑応答が。
   
なぜ、こんなに嫌なのか。
   
それは、
“著者や制作者である「本人」ならば、自作のその作品を一番よく理解しているはずである。だから解釈を聞いてみよう”
という安易な断定があり、それを前提に話を進めているから、嫌なんです。
安易に、無難な答えを手軽に知ろうとするのは、ちょっと甘い…。
   
本人が自作の見どころを語る場合、それは見どころというよりも「アピール・ポイント」であって、視聴者側が魅力的に感じるものとは、また違う場合が多いという事実に気づいていないインタビューだから嫌な感じがするのだな…ハハーンなるほど…。と思います。(笑)
  
でまた、こういうインタビューの場合、聞かれた作者ご本人は、たいてい
「見どころは?って聞かれてもね・・・。」という照れた苦笑いまじりの受け答えが見受けられることが60%以上。あの照れ苦笑いも、私は見たくないのです。(笑)
しかも、アーティストの人って、そのインタビューを新作出すたびに何百回も繰り返すわけでしょう。大変ですよね。うまく伝えないと売り上げが…という事務所からの圧力もあるでしょうし。「とにかく(自著を)読んでもらえばわかる」「(音楽を)とにかく聴いてもらえばわかると思います」、なんていうコメントは受け付けてもらえないんだろうなあ…
   
   
◆女性雑誌で見る、新作の化粧品とか香水の情報とかも、苦手です。
その理由も、やはり、上記に似た感じですが、
“制作者であるメーカー側の人たちが、自社のその商品の魅力を一番よく理解しているはずである。だから解説してもらおう”
という安易な断定があり、それを前提に話を進めているから、嫌な感じがするんです。この筋からの情報ならば間違いはないだろうという手軽さが、ちと甘いと思う。
メーカーさん側が「この商品の魅力」を語る場合、それは魅力ではなくアピール・ポイントというか「訴求ポイント」つまり戦略であって、ユーザー側が魅力的に感じるものとは、また違う場合が多いという事実に気づいていないままインタビューはどんどん進められていってしまうから嫌な感じがするんだよハハン。(笑)
     
愛用者が、この商品のここが好き!と感じる純粋な魅力と、
メーカーさん側の意図する部分は、
違う。
それなのに、
この両者の糸がこんがらかった情報が氾濫しているから誤解をうむ。情報操作とはまさに。
    
そう考えると、商品の宣伝とか広報として伝える人にばかりお伺いをたてるようなインタビュー記事は「ちょっと待てよ。何か違うぞ」と。この人が正解を知っているので、この場で手っ取り早く答えを教えてもらって我々はその解釈に従おう、という流れは『違う』。なんか違う。うまくいえないけど、その類の情報には、“躍動感”のようなものが感じられなくて、退屈な気持ちになるから、あまり好きではないのです。
「しかし、取材とは、報道とは、そういうものですよ。」と言われたら何も言い返せないけどね。躍動感の無さが、なんとなく好きになれないんだ…
…べつに私には関係ない事だけど。(笑)
    
    
◆商品パッケージのデザインをしている知人が、「じつはお願いがある」と言う。
「クライアント(このデザインを発注してくれた相手)に、私のこのデザインの魅力を言葉で説明しなければならないのだが、あまり深く考えずにデザインしたので自分でもどこが良いのか分からないし、文章がさっぱり浮かばないので、私の代わりに書いてもらえないだろうか…」というのです。
じつに奇妙な依頼です。
自分でデザインしておきながら「自分でもどこが良いのか分からない」って何だよそれ?と思いましたが、5分間くらい冷静に考えてみると、案外そういう事ってあるかもしれないなと私もそう思ってしまいました。
   
で、書いてみたら、書けた。
    
自分でも、最初は「そんなの私はデザイナー本人じゃないんだから分かるわけな…おやッ!? 書けた?書けたぞ?」
“…書いとるがな!”
ノリツッコミの順序よろしく、きわめてスムーズに作業が進みましたとさ!(笑) めでたしめでたし…
   
それにしても、よく頼んできたものだと思う。ふつう他人にこんなこと頼まないでしょ。
また、書く私も私だし。ふつう書かないよ?何も知らないことを何も聞かずに。スラスラと、よく平気で書くねアンタも…という声も承知の上で書いてます。(笑)
たまたまそのデザインをパッと見て一瞬でひらめいたから、なんとか書けたけど、ひらめかなければアウトだし、…クライアントさんから見れば私はまったく無関係な、単なる通りすがりの者なわけで、そんな人間がこんなに自信たっぷりに商品デザインの魅力を語っているのは、おかしな話です。「おめー誰だよ!?」って。
   
しかし考えてみれば、私が書いている香水エッセイも、まさにこれなんだなあと思いました。
香水のメーカーさんが私のエッセイを読んでくださったことがありまして、「うちの香水は、こんなふうに親しまれているんだね。うれしいなあ。」と言ってくださったことがありました。とてもうれしかったお言葉です。
香水は言葉を話せないから、人間が言葉でその魅力をせっせと伝えなくちゃ☆
多くの人に愛されれば、結果として、香水の(商品としての)寿命が延びるしね☆
    
    
◆自分の魅力に、自分で気づいていない人は多い。
人間関係の摩擦なども、悩む人をそばで見ていると、その人自身の中にある善い部分まで否定して悩みまくっているので、「そこは否定しちゃダメでしょ?」と思ってしまうし。それでも悩むのが人間なのでしょうけれども、変な言い方だけど…どうも悩むポイントが…ずれてる?ような感じも…するんだよね(笑) 私から見ていると。
「あなたは尊い人なのだから、もっとウヌボレて生きるべし」と言いたいです。それも他人の私だからこそ言えるのかもしれないけど。ドリフの「志村うしろーー!!!」と必死に叫んでも届かないような感触。っていうか、なぜ気づかないのか、逆に聞きたいくらいです。
    
冒頭の新作インタビューの話じゃないけど、
悩んでいるこの本人に「あなたの魅力は何ですか?」とかってインタビューする人がいたら、私はまたそのインタビューを嫌がることだろうと思います。(笑)
    
落ち込んで元気のない人が、無意識に私に何かを相談してくるときは、私が普段その人にたいして思っている、例の「内緒にしていた魅力」の部分をカンニングすべく、無意識ながらも本能的に私に質問してきているようにも見えます。
それも縁ですね。
    
例外的に、私はうぬぼれの強い性格なので…、どういうわけか自分で自分のことを尊敬しちゃってて(?)、そのおかげで他人に褒めてもらいたいとも認めてほしいとも思わないので大丈夫なんですけど(笑)、他の方は認めてもらえないと落ち込まれる方が多いようですから、もったいないなと思います。「あなたが他人に認めてもらえないと嘆くその部分よりも、じつはもっと本質的な魅力が別のところにあるから!早く気づけ!」志村うしろ!
人も物も、自分自身では気づいていない魅力がじつは輝いているんです。